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マンション管理もピンチ⁈

自由が丘不動産エージェント㈱タシカの名取です。緊急事態宣言下、マンションの管理人さんも出勤停止になり管理業務を行えていないマンションもあるようです。ごく一部の話じゃないかと思いますが、あり得ますよね。こういう時に、管理の仕組みを考えてみようかと。

管理業務の内容とは

※写真と内容は関係ありません。私が以前購入して住んでいた物件です。

 

まず、マンション管理業務はどんなことが行われているでしょうか。

 

・共用部の清掃

各階廊下・階段の掃除、手すりや排水溝まで細かく掃除してくれています。自分もマンション住まいの時、15階全ての掃除をする姿に頭が下がる思いでした。共用トイレもあるので、そこまでも…。いやはや、大変です。

 

・共用部の維持管理

(機械メンテナンス・電球交換等も)

機械式駐車場にトラブルがあれば業者と調整、備品が壊れれば発注、雪の日は雪かきetc 地味にキツイ仕事がありますね。

 

・ゴミ出し

これが一番大変かも?!集積所から収集場所まで管理人さんが出してくれています。ルールを守らないゴミ出しもあるし、臭いはあるし・・・これを自分たちでやるとなるとかなり大変です!ゴミ置場が汚いと管理会社変更とか言われちゃいますしね。タワーマンションなど各階にゴミ置場がある場合の業務は本当に大変だと思いますよ。

 

・住民からの意見、クレーム対応

家にいる時間が長いから、住民トラブル増えているでしょうね。生活音や楽器音、共用部の使用方法をめぐって、廊下にモノが置かれているetc 共同生活を行うということは、問題も起こりやすいということですから、ちょっと考えるだけで色々出てきます。

 

管理人さんは、普段居てくれるのが当たり前ですが結構な仕事をしてくれています。管理人さんの仕事でマンションの資産価値が保たれているということです。自分で出来ないことなんだから本当にありがたい存在です。

 

例えば、新築で100戸程度のファミリーマンションがあったとして管理費が月15,000円/戸だったら、月150万円の管理収入があります。管理人さん1人で30万+社会保険料等15万、管理会社の手数料として40万、設備維持費用(電気水道含む)に50万、その他で15万程度でしょうか。高いと思うか安いと思うかは、管理への満足度によって大分印象が違うでしょうね。

※上記数字は、あくまで私個人の想定ですので根拠はありません。

管理業務が行えない?!

マンション管理会社大手の長谷工コミュニティは、緊急事態宣言の期限である5月6日まで清掃員やコンシェルジュの派遣を停止して管理人の業務も緊急時の対応などに限定するといった対応をしているようですし、同大手の東急コミュニティーも、共用施設の利用停止や修繕工事の延期を管理組合に打診すると発表したそうです。

 

実際、以前住んでいたマンションの友人に聞いてみたところ、掃除などを行う管理人さんは今のところ通常業務をして頂いているようですが、修繕工事などの延期については既に打診があったようです。

 

管理人さんは、定年退職後のシニアの方がパート等で働いていることが多く、年齢的に新型コロナウイルスにり患した場合にリスクが高いとされているので、管理人さん達が出勤したくないと要望した場合には管理会社としては命を守るためにその要望を受け入れざるを得ないでしょう。

 

実際に人手が決して多くない中堅・小規模の管理会社では管理人さんの派遣が足りず、ゴミ置場⇒収集場所までのゴミ出しを住民自身に行っていただくように依頼せざるを得ないマンションも出てきているようです。

 

これは大変ですね。ゴミ置場に置かれたゴミが放置されることも考えられますし、分担を決めたところで担える人とそうでない人で不公平感が出ます。住民トラブルの元になります。ここはひとつ、滅私奉公という感覚で動ける人、やれる人が自主的にという意識をもっている方がいることを願うしかありません。

 

ちなみに、本日は関東圏で大雨となっています(R2年4月18日)。排水溝トラブルなどが起きやすい天候ですから管理人さんがいないとなると心配です。

これから懸念される管理業務関連問題

国交省が出している管理業務の「標準管理委託契約書」には、管理業務に疑義が生じた場合は管理組合と誠実に協議するという内容が書かれているそうですが、当然ながらコロナウイルス等の伝染病による影響に関しては明記されているものではないので、今後個別の協議が必要となるでしょう。

 

マンションに住んでいる住民は本当に千差万別です。新築~築浅の物件は居住者に若い方が多いですし、築年数が経っていると居住者年齢は高くなります。ちなみに国交省の調査によると、分譲マンションの世帯主は30歳未満:5%、30代:50%、40代:22%、50代:11%、それ以上:12%という割合だそうです。新築なら若い人の率がもっと高いし、築年が古ければ高い年齢層が増えるという事です。

 

これから管理業務が出来なかった場合にそのサービス内容の料金を算出し、精算することが求められると思います。これについても色々な事を言う人がいるでしょうから、管理会社のスタッフも本当に大変ですよね。

 

やはり、住まいに関することはテクノロジーで解決しようと思っても限度があります。受付業務や清掃をAIやロボットで代用しようという動きは少しはあるようですが、人の手と同じようにできる業務というのはごくごく1部です。

 

排水溝に溜まった葉っぱや汚れを取り出して漏水しないようにすることも、ゴミルールを守っていない人のゴミを整理したり、注意喚起したり…まぁロボットがやれる内容もあるかもしれませんが、毎日挨拶をしている管理人から言われるのと、ロボット等の画面で言われるのでは重みが違います。

 

資産価値を守るというのは、結局人の力なのです。いつもある当たり前のことに感謝をして、気持ちよくお金を払わないと維持できません。

 

前住んでいたマンションの管理人さんは、本当に良い人でした。子どもが赤ちゃんの時から、幼稚園に通って挨拶を交わせるようになるまでいつも見守ってくれていました。穏やかで優しい管理人さんの姿は、子どもたちの(だけじゃなく、大人にとっても)お手本でした。

 

これからも、そういう人と人との関わりこそが社会を動かしていく世の中であって欲しいと思います。

 

自由が丘不動産エージェント ㈱タシカ 代表取締役 名取確