足あと


ビーチを歩く母親。

サンダルの裏には、ハート型の模様が描かれているので、足あとで
無数のLOVEが描かれている。

それを追う、幼児が母の足あとを辿って歩いている。
幼児の足は言わずもがな小さく、母の足あとを
なぞっても消えない。

ハート型は、波が洗い流すまで消えないが
大潮の後の浜では波も届かない。

吹く風が、少しずつ砂を乾かし、母の
愛の足跡を削ることになるだろう。

そのときには、もう他の道を歩き、新しい
愛の跡が子の前に刻まれている。
子は喜んでその足跡をなぞり続ける。