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住宅ローン破綻の記事を読んで

自由が丘不動産エージェント ㈱タシカの名取です。住宅ローン破綻の記事が今日twitterのトレンドにも出ておりました。内容は確かに「知らなかった!ヤバい!」と不安になるような内容で、警鐘を鳴らしてくれている事は素晴らしいと思います。でも、僕ら不動産業者がそれに乗じて不安を煽ったところで何にもならないと思いますので、お客さんが悩んだときにどう回答するか考えてみました。

住宅ローン破綻って何のこと?

住宅ローンの金利と聞いて皆さんが思い浮かべるのは、変動金利0.5%~0.9%程度、1%を切る数字だと思います。この金利がまず≪優遇金利≫だという事を知っておくと、この後の内容がわかりやすいと思います。

 

≪優遇金利≫は個人・物件の属性などによって金融機関が審査して優遇幅を決めて適用される金利です。もともとは基準となる店頭金利があります。今の大手銀行の変動金利だと2.475%です。そこから1.8%前後引いてもらえる優遇(凄い割引ですね)が適用されるのが住宅ローンです。それだけ、良質な住宅を購入する=資産として安心なモノを買うという評価がされることなんです。

 

生きていくのに、衣食住は欠かせません。着るものは新しいのを買わなくても済みますから、生活が厳しくても我慢出来ます。食べることは生きること。食費は外食などを控えて、抑える努力をするでしょう。住むところは、自分の実力(生活が破綻せず借りられるローンの額)で買っています。35年もかけて返す計画を立てているのが住宅ローンなのです。要は、超分割払いなので、絶対に月々払っていける家賃だと判断して借りているはずなんですね。

 

住宅ローン破綻=家賃を払えない

 

と、いう事なのです。超怖いですよね。家を追い出されてしまう…。だけで済まないから気を付けてくださいね!という啓蒙が今日の記事のお話だと思います。

実際、いくら払っていますか?!

例えば5000万円ローンを組んだ方が、月々払っている金額が、金利によってどれだけ違うかという例を作成してみました。

 

2020年4月の店頭表示金利2.475%で返し続けるなんて想定自体がナンセンスですが…。

 

実際のところ、一つの基準として今払っている家賃と比較してローンを組む方が多い気がします。

 

14万円以下の家賃でやっていこうと思っていた方が、18万円ですと言われると結構プレッシャーですよね。月々4万円も多い家賃を払うというのは…。

 

4万円って書くだけだとそこまでのインパクトはないかもしれないですが、0から4万円稼げと言われたらアルバイト等を新規で始めて、時給1000円を40時間…1日4時間を10日間…そこに行くまでの経費・食事代やらを考えると、さらに稼がないと生身の4万円を得るのはとても大変です。

 

実際のところは、14万円が18万円になったら成り立たない…ということではなく、そうなったらもう14万円でも成り立たなくなってしまうというのが今恐れているコロナの影響ではないでしょうか。

 

あぁ、怖い・・・という実感のための試算はとりあえずやってみたのですが、この後は、実際に生活が成り立たない時にどうすればいいのかを考えてみたいと思います。

もう払えない…どうしよう…

いざ、本当に今月ローン返済が出来ない…と追い込まれるのは大分先ではないでしょうか?!住宅ローンは口座引き落としが基本ですから、口座にお金が無くなって、本当に生活が追いこまれるタイミングのは数か月先です。そこに追い込まれる前にできる対策を考えましょう。

 

●返済猶予を金融機関に相談

住宅ローンの返済猶予は普段でも受け付けています。あまり心配せず、また立て直せる見込みがあるようでしたら返済猶予の相談は遠慮なくやってみてください。病気にかかった等々、様々な理由があるからです。でも、この猶予は解決策ではありませんね。

 

●残債を確認する

売るための試算をするのには、残債を確認するのが大事です。購入してからある程度年数が経っていたり、繰り上げ返済を過去にしていれば残債が大分減っていることもありますね。残債がわからないと次の作戦を立てられませんので。

 

売れる価格 ー 残債 ー 売却諸費用=プラスorマイナス

 

●売れる価格を査定

売却価格の査定を、信頼できる不動産業者に依頼しましょう。ただ、ハッキリ言って今の査定はアテになりません。これからの影響による下落予測が付きません…。だからこそ、余裕がない方はすぐに動いてください!!今動けば下落幅が小さく住む可能性があります。

 

●貸せる価格を査定

良い物件は、ローン返済額よりも賃貸に出すと金額が大きくなることがほとんどです。本来は投資用で借りているわけでは無いので、貸すというのは色々と手続きが必要ですので、まずはご相談ください。

結局どうすればいい?!

現場の感覚としては、よっぽど無理して買ってしまった人でなければ、この数年の低金利の中で買った人が住宅ローンを払えなくて破綻するというのは考えにくいんですよね。

 

キャピタルゲインを狙って、短期固定のプランを選んで転売しようとした人が痛い目に合う可能性はあるかもしれないけどそれは別に投資の失敗というだけ。

 

実需で、家族が安心して暮らすために無理せずに買える物件を買おうという方が「支払いが出来ない!」となるかというと・・・払えなくなったらその方たちは次に住む物件すら支払えなくなってしまうという事でしょうから…。

 

賃貸で同じ広さを借りようと思ったら、都内では無理。結構離れたところに行かないと…

 

本当に無理!となったら、実家と力を合わせるとか、生き方を変えるとか、何か大きな変化が必要だと思います。

 

不動産は皆さんがお持ちの試算の中でも断トツに金額が大きなものであることが多いと思います。その扱いを、誰に相談するかによって物凄く大きな影響を受けます。まずは、自分の信じられる不動産のプロが周りにいたら、その人に相談してください。その人が賃貸専門だったらダメです。ビル・店舗のプロだったらダメです。不動産ファンドの運用担当じゃダメです。居住用の不動産売買のプロじゃないとダメです。不動産業者の社員でマーケティングをやっている人じゃダメです。居住用不動産を日々取り扱っていて、自分以外のプロからも情報を取ってこれて、歩合のサラリーをもらっていない人を探してください。

 

本当に困っているときに、頼れる人であるかどうか。みなさんが良い人脈をお持ちで、相談できる人がいることを願っています。