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石綿(アスベスト)被害防止

自由が丘不動産エージェント ㈱タシカの名取です。アスベストの被害防止のため「全建材で飛散対策義務化へ」とありますが、これはビックリ。「え?いままでそうじゃなかったの?!」というのが、私の感覚なんですが、もしかして勉強不足でしょうか・・・。

 

未だに死者が年間1500人を超える?!

何がビックリかって、アスベストが原因となる中皮腫等の病気によって年間1,500人も死亡しているという現実。

 

怖いですね。1,500人って結構な数じゃないですか?!

 

中皮腫になるには、アスベストを吸い込んでから発症まで数十年の潜伏期間があるようです。そのためについた名は【静かな時限爆弾】。とんでもないですね!

 

アスベストってそもそもなんでしたっけ?

石綿は、天然に出来た鉱石の極めて細い繊維で、熱、摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変化しにくいという特性を持っています。よく聞く異名は「夢の建材」

 

夢の建材が天然で出来るんだから、そりゃ使わない手はない!ということですね。

 

そのため、以下のように建築関係で利用されてきました。

 

①吹付アスベスト

石綿とセメントを一定割合で水を加えて混合し、吹き付け施工したものです。使用期間1956年~1975年ごろまで・・・東京オリンピック開催が1964年ですから、その頃に作られた施設等では確実に使われているでしょうね!夢のオリンピックに夢の建材を使って建築しよう!!と思うのは自然ですよね。吹付け石綿の石綿含有率は、鉄骨耐火被覆用では重量のうち約60%、吸音・結露防止用では約70%だから、大分石綿の割合が高いってことですね。

 

 

②吹付ロックウール

1975年に吹付けアスベストが原則禁止となった以降は、吹付けロックウールに切り替わっていました。吹付ロックウールは1989年ごろまでは石綿を混ぜて使用していたそうです(石綿含有率は重量5%以下)大分割合は減ったけど、石綿はバブルの頃も使われていた!!知れば知るほど怖くなってきます。

 

 

③その他のアスベスト含有建築建材

鉄骨等の耐火被覆材

吸音・結露防止材

内装材(天井、壁、床材)

外装材

屋根材

煙突材

耐火被覆板

断熱材

整形板

スレート波板

スレートボード

けい酸カルシウム板(第一種、第二種)

スラグ石膏板

パルプセメント板

押出成形セメント板

窯業系サイディング

住宅用屋根化粧スレート

ロックウール吸音天井板 etc・・・

 

めっちゃ多い!!!!これだけ多くの物に石綿を利用していて、それを取り扱う資材メーカーがあり、卸業者があり、建築現場があり・・・モノの流れを考えると、そこら中に石綿を含んだものがあったという事ですね。

 

石綿含有率は製造年代で異なりますが、25 %以下です。一般に製造年代が古いほど石綿含有率は高いといえます。建築系だけではなく、車のブレーキパッドなどにも使われていたというのだから、ものすごい量でしょうね。

 

ちょっと昔の工場、トタン屋根、昔学校とかでもよく見た天井板、駐車場の鉄骨の防火吹付なんかには入ってるみたいです。おぉ、怖。。。いや、怖いわけじゃないですね。解体して細かいものが飛散しなければ大丈夫なんだから。

  

1980年代後半に、吹付け石綿対策の一つとして"封じ込め"が行われたので、まだ目に見えないところで封じ込められた吹付け石綿が残存している場合があります。

 

上記の文章だけではイメージが湧きにくいかもしれません。ご興味がある方は国交省がまとめた資料をリンク貼っておきますのでご覧ください。

重要事項説明でも話すのに…

問題なのは、私達、不動産業者はアスベストについて不動産契約時に重要事項説明の中でも説明する項目があるのにもかかわらず、アスベストの被害の現状などを知っていないという事です。もしかしたら私の勉強不足なのかもしれませんが、今まで重要事項説明の場や、その他でも業者さんとアスベストについて語り合ったことは無いのできっと問題意識はないのだと思います。

 

認識としては「古い建物(昭和に建てられたくらい)だとアスベストを使っている可能性はあるし、平成前半位だと建材に含まれている可能性はあるけど、あるだけで直接影響を及ぼすものではありません」という程度。

 

「解体しないのであれば、飛散しないので問題になることはあまり無いですね」

「解体する場合は、対策をする必要があるので解体費が高くなりますから要注意です」

 

と、この程度の説明しかしておりません。。。

 

今までの規制であれば、解体時に対策が必要な建物は2万軒ほどしか該当しなかったが、規制後は40万軒と20倍に!!一気に身近な問題になる可能性があります。

 

私達不動産業者も、すべての分野のプロになることは出来ませんが、情報を少しでも多く頭にとどめておくことで「あ、これヤバそうだな」と気づけることが大事です。

 

不動産取引は一人でやるものではなく、多くの方々を取りまとめて行うものです。その中でタクトを振るのが私たち仲介業者であるべきです。不動産・建築を取り巻く様々なプロと交流をもってお互いに有益な情報を提供しあえる関係づくりを日々行うことも私たちの大事な仕事の一つです。

 

アスベストについては「解体費を高くするモノ」という認識から【1500人もの命を奪うもの】に意識をアップグレードして今後の仕事に臨みたいと思います。

 

自由が丘不動産エージェント ㈱タシカ 代表取締役 名取確