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長期金利と固定金利

自由が丘不動産エージェント㈱タシカの名取です。作家の浅田次郎さんの実家は、戦後の闇市からの成り上がりで、同級生は青洟で汚れた甚平を着て学校に来ていたのに、車で洋服を着て乗り付けるくらいの凄い資産家だったそうです。事業家だった浅田さんの父親が言っていた金言は「商売は金利との戦い」だそうですが、不動産購入も同じく金利との戦いです!!

固定金利は長期金利の動きに連動する

固定金利は、長期金利の動きに影響を受けるというのはよく聞きます。なので、新聞で長期金利が上がっているという記事を見れば「来月のフラット35金利UPするだろうな」と予想はします。

 

ですが、私達は金融のプロでは無いので、どういう仕組みで長期金利と固定金利が連動しているか詳細は分かりません。いわゆる「何となく知ったような気になっている事」の一つではないでしょうか。というわけで、今日は長期金利と固定金利の連動について勉強してみたいと思います。

 

Q.1長期金利とは何でしょうか?

 

と、クイズ出されたら・・・すぐには答えられません。やっぱり知ったような気になっているだけだ…。

 

長期金利=満期までの期間が1年超の債券などに用いられる金利。代表的なものは10年国債利回り。フラット35や固定期間選択型の金利は10年国債利回りに連動します。

 

Q2.長期金利が上がるってどういう事?

 

ど、どういうことだろう?!金利が上がる=景気が良いって事でしょうか…。

 

答えは×!長期金利が上がるという事は、将来の好景気への≪期待感≫が高まっているということです。例えば、将来、景気が良くなるかもしれないという期待感が高まれば、実際に景気が回復していなくても、長期の資金需要が高まって長期金利が上昇します。

 

なるほど。最低限これくらい答えられれば入門編はOKでしょうか…。金融専門の方、いかがでしょう?!

 

それにしても、期待感で金利が動くって聞くと、だいぶ適当っちゃ適当に思えますね。超エリートの人達が様々な要素を分析・計算してはじき出されているのかもしれないのですが、人間の欲望そのものが金利に直結してるってことですかね。

 

アベノミクスとマイナス金利政策

長期金利についてもう少し勉強してみましょう。最近の例からわかりやすく実感値を伴う内容としてはアベノミクスがうってつけですね。

 

アベノミクス相場では色々な経済政策が実行されることで景気回復への期待感が高まり、実際に株価も金利も上昇しました。なるほど、確かに民主党政権で落ち込みに落ち込んだ株価は、安倍内閣発足後3倍以上上昇したという実績があります。

 

アベノミクスではマイナス金利政策を導入しました。

 

マイナス金利政策とは、民間の金融機関が中央銀行(日本では日銀)に預けている預金金利をマイナスにすることです。

 

マイナス金利下では、日銀にお金を預けているだけだと減ってしまいます。「それは困る!」と、民間金融機関は低金利でも企業にお金を貸し出します。すると企業は設備投資などに回すので、さらに経済が盛り上がるという政策です。

 

確かに、1%を割るような金利で設備投資が出来るチャンスという事で、色々恩恵を受けた会社が一杯あります。不動産系でも事業用不動産のプロジェクト融資などは借りやすくて大きく事業規模を拡大した会社がありました。ヒューリックなどはその代表格でしょう。

 

市場にお金が溢れているので、一般人でも投資用不動産に融資してもらえる時代でした。そのため、サラリーマン投資家がアパート建築に躍起になっていたのはマイナス金利政策から繋がるものだったんですね。それによって、功罪があるのは言うまでもないのですが、ここで語りだすとキリが無いのでやめときます。 

 

長期金利を動かすことで、経済的に大きな影響があることが何となくつかめてきた気がしてきます!

固定金利に影響を与える、その他の要素

固定金利は、日銀の金融政策にも影響を受けるようです。たとえば、日銀は国債を買い入れる量的緩和政策により長期金利を引き下げたりします。

 

その他にも「マイナスで推移していた長期金利を0%で推移するように誘導」するために、デフレは脱却したので2%の物価上昇(インフレ)を目標として金利を上げる政策を取ったりしているそうです。 

 

確かに、この政策導入以降には実際に長期金利は上昇し、現在は0%に近いプラス圏で推移していることがわかります。今後、安定的に物価上昇がしていけば、長期金利はUPして固定金利も上昇していくことになるはずですね。

今後の金利の見通し

金利の見通しを予想するのは非常に難しいです。というのも、それがわかれば世の中全員ウォーレン・バフェットになれる!!のです。

 

金利の動向は日銀の金融政策だけではなく、海外からの金利上昇圧力も大きく影響を受けますよね。実際、米国大統領選挙でトランプ大統領が勝利した際には「絶対金利上がるぞ!」と不動産業界の仲間は戦々恐々としていました。日本で別に庶民の手元にお金がたくさんたまっている実感がないのに金利だけ上がったら家を買おう!なんて思わないですよね。

 

トランプ大統領による米国経済の行方がどうなるかが重要と思っていましたが、新型コロナウイルスの影響で今後の世界経済は全くわからなくなってしまいました。

 

なお、ここしばらくは「長期金利が0%程度で推移するように誘導」するわけですし、景気が良くなることはないでしょうから、住宅ローン金利が大きく上がりにくい環境が続くことが予想されます。

 

金利だけでなく、繰り上げ返済の方法やコスト、保障などの付帯サービスなど金利以外の商品性も含めた総合的な観点での住宅ローン選びを意識して選んでくださいね。

 

今すぐ、家を買おう!と緊急事態宣言下で思う方は極々一部だとは思いますが、住まいは人間にとって欠かせない物なので、金融機関の融資が止まるわけではありません。今だからこそ、安くて良い物件を低金利で買うチャンスとも言えるのです。金利との戦いという観点では、今ほど低い金利は無いのですから、今がチャンスじゃなかったらなんなんだ?!

 

下値・高値を読み切れるほど、そして、それに合わせて生きられるほど私達は習熟していません。

一つ、絶対の正解があるとすれば、不動産は常に「欲しい時が買い時」です。

 

 

自由が丘不動産エージェント タシカ 代表取締役 名取確