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契約不適合責任とは?!

自由が丘不動産エージェント㈱タシカの名取です。4月から瑕疵担保責任から、契約不適合責任に代わりました。お客様からすれば、ハッキリ言ってどっちでも良いというか、ちゃんとした(住むのに問題のない)物件であればいいのです。ただ、売主の責任を追及しやすくなったので、より物件の選別にはプロの目線が必要だということです。

瑕疵担保責任と契約不適合責任

令和241日より改正民法が施行されました。明治時代に作られた法律がやっと現代に合ったカタチに刷新されたのです。現代に合った形…とはいえ、検討するのにも時間かかってるんだろうからまだ足りないだろ?!というのは屁理屈ですかね(笑)

 

 

わかりやすく、かみ砕いて書いてあればいいのですが、そこはやはり法律ですから、ぱっと読んでもよくわかりません。ざっくりとですが、内容をまとめてみたいと思います。

「瑕疵担保責任」がなくなり「契約不適合責任」となる

例えば不動産取引の場合、これまで売主には「瑕疵担保責任」がありました。「瑕疵=シロアリ被害や水漏れなどの欠陥」が見つかった場合には、買主様は契約の解除や損害賠償ができる、というものです。

 

契約の前に、重要事項説明というものを行います。その中でも重要な点としてしっかりお話するのが瑕疵担保責任でした。不動産契約以外で瑕疵担保なんて言葉聞かないですよね。要は大分わかりにくいのです…。「隠れたる瑕疵」と言って、目に見えなくて買主が知り得なかった問題が後から発見されたときに、売主がその責任を負いますよ、但しそれには期限も設けますよという内容でした。

 

 

この責任が民法の改正により、「契約不適合責任」というものに変わりました。大まかな変更点は以下です。

買主が欠陥を知っていても責任追及出来る

 これまでは、後から欠陥が発覚した場合でも、買主が知らなかったのであれば契約解除や損害賠償請求をしても良いという法律でした。まぁ当たり前といえば当たり前です。

 

 

こちらが民法改正により、買主が欠陥を知っていたとしても、売買契約書に「欠陥があります」と書いていないのであれば、売主は欠陥がないものを売り渡さないといけない、ということです。これが「契約」に「不適合」なものを引き渡してはいけないという「責任」です。

契約解除や損害賠償の他、修理の請求や売買代金の減額請求も出来る

買主は、契約解除か損害賠償請求しか選択肢がありませんでしたが、改正民法では、修理の請求や代金の減額も請求できるようになりました。

 

 

解除に至るというのは、よっぽど予見できないような非常に大きな瑕疵が発見されたときですのでそれは仕方ない。ただ、損害賠償請求については賠償額は補修が必要な設備等の価額程度に限られるのに対し、契約不適合責任はその物件を利用して転売しようとする場合の転売利益にまで責任が求められるそうですので、売り主にとって大きなリスクを背負わせるものです。

契約書の重要性が増す

 

 

 

今後、売買契約書の内容が重要になるのは間違いありません。

 

売主としては、何か土地や建物に不具合があるのであれば、しっかりと明記して買主へ伝えておかないといけません。仮に建物の目立つところに白蟻被害の跡や、雨漏れの跡があったとしても、契約書に書いておかないと、買主から責任追及されてしまうことになります。

 

 

一方、買主としては、何か不具合があるのであれば、契約書をしっかり読めば書いてある、ということになりますし、書いてなければ後から請求できる、ということになります。

 

 

だいぶいい加減なまとめですが、要は買主の保護が広がった、という改正ですね。

 

5000万円出して買ったんだから、5000万円の価値のものを引き渡してよと。契約に適合したいものが見つかったら、それは価値が足りないんだから値段下げてよと。

う~む・・・なんて表現したらわかりやすいか・・・。研究して、また改めて纏めるとします。

皆さんがやるべきことは一つ

皆さんがやるべきことは、安心安全な取引に導いてくれるプロを選ぶこと。

 

これだけです。買主が有利と思って、権利ばっかり主張するのも間違っています。契約書上で免責事項はいくらでも作れます。

 

私達は普段から、売主・買主双方が幸せになるような取引をすべく、それぞれの立場で全力を尽くしています。ただ、営業マンの中には「こいつ、自分の事しか考えてないな…」と思う人がいるのも事実です。

 

文章で全て決めるというのは危険性もあります。文章(契約書)に強さを与えてしまったのが今回の改正だとするならば、僕らはそのショックアブソーバーになってお互いに柔らかさを持てるようにすべきだと思います。

 

がちがちに決めごとだけではなく、あの人に買ってもらって・売ってもらって、出会えてよかったという取引が出来る事が一番嬉しいのですから。

 

人生において、一番幸せな契約だったと言ってもらえる取引をすべく、契約不適合責任も勉強していきたいと思います。

 

自由が丘不動産エージェント ㈱タシカ 代表取締役 名取確