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購入した物件を賃貸に…グレーゾーンの話

自由が丘不動産エージェント㈱タシカの名取です。賃貸マンションもコロナの影響で全く動かない…なんてこともなくて、それなりに動きがあるようです。仕事のため車で都内を走ってるとエ〇〇ルの車にお客様らしき人を乗せているのを見たりします。やはり、住まいの事は不要不急ではないのですね。賃貸で人気なのは「分譲賃貸」ですが、これにはグレーゾーンの話が付いて回ります。

住宅ローンで買った家を賃貸に?!

【分譲賃貸】分譲マンションを賃貸に出したもの。グレード等が賃貸専用マンションよりも高いことが多く、賃貸市場で人気が高い。

 

というわけで、分譲マンションの1室を賃貸に出したいと賃貸管理会社に相談すると「こりゃすぐ決まるぞ♪」と、喜んで対応してくれます。

 

実際、私は賃貸選ぶときに基本は分譲賃貸しか見ません。デベロッパーの立場として賃貸と分譲で同じ仕様にすることはなく、圧倒的に分譲賃貸の方が満足度が高いからです。ただ、都心の超高級賃貸専用レジデンスなどは素晴らしい作りになっていますけど、基本的に一般的なファミリーが住む物件に限って言えば、質の良い分譲賃貸は物凄くニーズが高いと言えます。

 

ただし、分譲マンションを賃貸に出すには注意しなくてはならない点がいくつもあります。特にグレーゾーンの話についても今日は踏み込みましょう。※私見ですので、理論が甘いというご指摘はあると思います。

住宅ローンで買った物件は自己居住が原則

住宅ローンは、あくまで自己居住用という≪実需≫のために超低金利で長期間のローンを組ませてくれているというのが原則です。「自分で住むのだから、その家賃を払わないなんてことないよね⁈」という性善説でお客様属性(ご年収や職歴)を主にした判断基準のもと、いくら貸すかを金融機関が判断しています。

 

自己居住用だから、借りた人が頑張って返してくれるので取りっぱぐれの少ない安心な商品だから金利は最安にするね♡極めてラフに住宅ローンの意義を語るとこんな感じです。

 

ただ、購入しても様々な事情で自分が住めなくなることもありますね。例えば…転勤・病気・親族の介護など、どう考えてもやむを得ない事情って誰にでも起こりうるのですから。

 

基本的に、やむを得ない事情であれば金融機関に相談すれば賃貸に出す事もOKしてくれることがほとんどです。転勤で海外赴任が急に決まったけど、売りたくは無いし、空き家にしていたらローン返済がキツイ…。病気になって長期入院することになってしまったから、ローン返済のために賃貸に出したい…。親の介護のため地方に戻ることになった…将来戻ってくるかもしれないから賃貸でしのぎたい。

 

そんな、やむにやまれぬ事情があるのに「ほ~・・・お客はん、住宅ローンの意味ご存じでっか?住まへんのやったら、一括返済してもらいまひょか!」なんていう事はありません。

 

さて、ここからが今日の本題。グレーゾーンのお話です。

自己都合で賃貸に出したい場合

やむを得ない事情ではなく、住宅ローンで購入した物件を賃貸に出すというシチュエーションも考えられます。これ、知らずにやっている方もいらっしゃると思いますので注意が必要です。

 

繰り返しますが、住宅ローンの前提条件は「自己居住用」ですね。自己居住じゃない物件を賃貸に出すのはルール違反です!!なので、借りている銀行に不正がバレると残債の一括返済を求められることもあります。

 

そこで、2つの方法があります。

 

■賃貸物件用のローンに切り替える

■金融機関と交渉する

 

え~、賃貸物件用のローンって金利高いですやん…。金融機関と交渉してダメって言われたら困るじゃん…と。この方法は、現実的ではないんです。なので、グレーゾーンの話がどうしても出てきます。

 

結婚してマンションを買いました、最初は賃貸に比べたら広いし、家賃と比べてもほぼ一緒なのに設備は綺麗でカッコいいし大満足♪子どもが増えて手狭になってきたので「そろそろ戸建に住みたいな」と、見学に行って気に入った物件が見つかりましたが…あれ?!マンションのローンもあるし、ダブルローンだし無理かな…と思ったら…

 

「大丈夫です。フラット35で組みましょう」

 

「え?!住宅ローンを〇〇銀行で組んでるのに、ダブルローンじゃないの?!」

 

「フラットなら行けますよ~!超低金利時代ですし金利は固定した方が安心です!」

 

なんて、あれよあれよという間に戸建てが買えることになりました♪ばんざ~い!!・・・ここまでは良いけど、さて、本当にマンションを賃貸に出していいのでしょうか?!

自己居住用だから基本はダメ

ですが、実際の所、上記のように2つ目の物件が買えてしまい1つ目を住宅ローンの返済を続けたまま賃貸に出すというパターンは・・・あります!!これは、本来の住宅ローンの趣旨からいえばダメ。だけど、実際の所はバレない限り、ダメ!!と言われていないのです。だって、バレてないんだからダメと言われようが無いですね。浮気と一緒(笑)…私が有名人なら、炎上しそうですな。

ローン返済が滞らなければバレない⁈

宅建業者がこんなこと言ってはいけないのかも・・・繰り返しですが、バレてないだけなんです。本来はダメ。でも、いちいちそんなの全部チェックするほど暇じゃないですよね。だから、ローンをきちんと返済していればあまり問題になりにくいのです。あくまで、なりにくいだけ…。

 

賃貸に出しても客が付かず、返済ジャンプしたりすると大変です。賃貸するにはリフォームをして、クリーニングをして、給湯器やエアコンが壊れたら補修をして…と、維持費がかかります。手元に貯蓄が無い人が賃貸に出すと急な出費に耐えられず…なんてこともゼロではありませんね。

 

銀行からの転送不可の書類が届かなくてバレたというのは、良くあるパターンです。ローン残高証明がどうやって発行されて届けられているか要確認。なんて、手段を教えちゃダメですかね(汗)
近所の人のタレコミでバレた…なんて事例もあります。おぉ怖い…。恨まれる事しちゃだめですよ~。

フラット35が先、住宅ローンが後だと楽

フラット35を使って1軒目を買っていて、2軒目を住宅ローンで借りる場合は、1軒目の賃貸に出すハードルが低いです。フラット35は当然ながら、自己居住用の物件の融資を受けやすくするために国が作った住宅金融支援機構が融資元となる住宅ローンなのですが、民間よりは全体的に「甘い」のです。賃貸に出す場合も≪住所変更届≫を出すだけで出来てしまいます。う~ん「甘い」ですね。この甘さが、フラットで偽の申請をさせて、投資用物件を買わせるという犯罪の温床にもなっているのです。

バレた時の覚悟

問題発覚してしまった場合は、一括返済もしくは事業用ローン(アパートローン)に借り換えが必要です。今の残債がいくらか、売った時の市場価格がいくらかはチェックしておきましょう。事業用ローンになった場合の金利で月額返済がいくらかもチェックしましょう。それより高く貸す前提じゃないと、意味が無いですからね。

賃貸業者は責任取りません

今日のグレーゾーンの話は、あくまでその当事者となる【貸主】がリスクを負ってやることです。管理業者はあまり細かい事は知らないふりをしたいのが本音で、いざという時に責任を取ることはまずあり得ません。というか、責任取れません。

 

なので、自分でリスクを分析して、じっくりと検討してください。リスクに見合ったリターンなのかどうか…。確かに住宅ローンを月12万円返済していたとして、賃貸出せば20万くらい行けそうだなと思えば8万浮く!と思いきや、実際は月換算だと固都税-1万・管理&修繕積立ー3万・リフォーム&クリーニング代-2万・賃貸管理費ー1万なので手取りは1万/月なんてこともあり得ます。

 

月1万円儲かって、10年かかって120万なら、今売ってしまった方が手取り多いのでは?!とか、でもこれからインフレになるかもだから、持っておいた方がお得かも?!とか、考えることはたくさんありますよね。

 

物件の状態によって、この収支は大きく違うと思います。その辺り全てをしっかり把握して適切なアドバイスをしてくれる人を探すことが大事というのは、物件購入と変わりありません。

 

駅前の賃貸屋さんのお兄ちゃんは、絶対あなたのそんなリスクの面倒見ようなんて思いませんよ。だって、そんな業務に歩合はもらえませんから。

 

一人暮らしで、自分のリスクだけで物事判断出来るのであれば、当事者の人も甘めのリスクヘッジで行くでしょうけど、このグレーゾーン検討される方は家族持ちの方が多いのです。浮気と同じく「墓場まで持って行く」覚悟で臨んでください・・・まだ言うか(笑)

 

自由が丘不動産エージェント (株)タシカ 代表取締役 名取確